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絶対終わらない事を分かっていながら私はいつも同じような事言って啖呵を切ります。終わりません。終わったら…良いなあといつもの淡い期待を容赦無く裏切る私の根気はいかがなものかと自分で思いながらも私は懲りずにそんな事をまた言いだします。そうだ、妙義を書こう。
一応ネタは有る気がするので、途中で息詰まるまでやろうと思います。多分。あとは根気。
続きから一番最初ドウゾ。
ああああもっと長い文を書ける様になりたひ。
一応ネタは有る気がするので、途中で息詰まるまでやろうと思います。多分。あとは根気。
続きから一番最初ドウゾ。
ああああもっと長い文を書ける様になりたひ。
庄司慎吾が愛車にナイトキッズのステッカーを貼りだしたのは、中里がGT-Rに乗り換えて間もない頃だった。何故彼が峠を走り、何故ナイトキッズに属したのかは中里は一切知る事も無ければ聞く事も無かった。全く気にならない訳では無かったのだが、自分から興味がありますので教えて下さいと発言する様な事はしたくなかったからだ。聞いたところで相手が相手なだけに教えてくれると約束されている訳ではない、元々人の話を聞くのは好きではあったが、他人の人生に干渉するのは嫌いだった。
第一印象は恐らく最悪だったに違いない。それは中里にとって根拠があれば確信もあった様に思えたが、実際どうだったのかはもう分からない。知りたくても、もう心理に迫る事は出来なくなってしまった。
真夏の日差しを直に感じながら、暑苦しいスーツの袖で汗を拭った。水を染み込ませる仕様になっていない厚いスーツ生地は額の汗を吸ってそこだけ色を変えてしまう。唯それを見つめながらやがて中里は重い足を踏み出した。
「中里」
中里毅は面食らった。彼は妙義山をホームコースにする走り屋集団、ナイトキッズのチームリーダーである。と言っても、現時点でのリーダー格であるだけでその名に馳せるものがあるのかは中里本人には正直理解出来なかったが、走りのテクニックは妙義でナンバーワンと言われるのも悪くなかったので彼はその名を素直に受け取っていたし、実際中里自身そう思っていたので当然の如く、かつ踏ん反り返らない程度に喜んでいる。しかしそれで大口を開けながら名誉を謳う訳でも無かったしその事で自分は他に迷惑をかけたことも――そんなに――無かった筈だが。
「中里」
彼は初対面からそう呼んだのだ。庄司慎吾が何に思いを馳せてナイトキッズのステッカーを貰ったのかは分からないし中里は当時知りたくも無かった。ただ、自分に憧れて入ったのでは無い事は充分に理解出来た一言だ。
別段呼び名がそんなに気になる訳でも無いしそこでとやかく言う程中里は堅い人間では無かったが、ナイトキッズのリーダー格を占めていて他の者からはどんなに疎遠された仲でも、中里さん、毅さんと呼ばれ続けていた自分が、ステッカーを貼って幾日もたっていない新人に、中里呼ばわり。流石の中里もそれにはどうかと眉を寄せたものだ。これは決して自分が見下される事を嫌っているからでは無い。いくら正式なものでは無いとしてもチーム内の上下も見れない様な根性を叩きなおそうとしたいだけである。が、結局どんな注意をしても自分が大層偉そうな態度を取っているのは違い無かったからそこは敢えて自重する事にした。
慎吾とはまだあまり話していない。何故か彼は、彼がナイトキッズに入ってきた頃から中里を嫌っていたようであったし、中里も中里で根性の曲がった同士仲を深めようとする訳でも無かった。お互いがお互いを避ける様な雰囲気にチームの中はより一層険悪になる一方である。
彼のドラテクは確かに上手かった。入って間もなく彼は愛車の赤いシビックの名をその妙義山に轟かせ、派手に峠を走っていたものだ。しかし彼の周りに人が居るのを中里は未だ見た事がない。中里が峠で愛車を休ませている時に慎吾自体は何回か見たが、彼はいつも隅っこの方でシビックに体を預けながらぐしゃぐしゃになったラッキーストライクの箱をポケットから取り出していたものだ。入って間もない彼は初対面のリーダーを呼び捨てにする様な度胸を持て余して一匹狼になってしまっていたのだ。そのことについて慎吾が何を思って煙草をふかしていたのかは分からない。元々自分から自己主張をして仲良しさんを演じる様なキャラでも無い事は分かっていた。
ある日、中里の前にチームメンバーの一人が息を荒げながらかなりの勢いでまくしたててきた事があった。
「この前入った新人!アイツ、俺の後ろを走ってたと思ったら行き成りリアを突いてきやがったんですよ!」
と言うことらしい。何でも、今夜は頂上まで行くのを目的とし妙義山にまで赴いてきた彼がバックミラーから眩い光を感じ、道を開けようかと迷ったものだが後方を確認してみると赤いシビックの新人だと気づきステアを握る拳に力が入ったのだと言う。新人は一丁前にもクラクションを鳴らすという暴挙の煽りに出たのに対し怒りを感じた彼がムキになって新人に煽られてたまるものかと目を燃やしながらコーナリング突然――後は、発言通りの展開だ。ドン、と軽くも重圧的な音を感じながらコーナー寸前の目の前に迫るレールを何とか避けながら暫く放心状態の彼の中には、響くクラクションの注意音とシビックのテールランプが残っていたという。
その真偽を確かめる為に中里は慎吾に近づいた時、彼はまた一人で隅っこにEG6を駐車しながら一人で煙草をふかしていた。滅多に近づかないナイトキッズのリーダーに慎吾は眉を寄せたが、同じくらい中里の眉も中心に集まっているのに対し慎吾はまた機嫌を悪くしたかの様に煙草を口から飛ばしポケットに手を突っ込みながら中里を見上げた。
「何か用?」
開口一番の発言に周りの野次馬は肝を冷やした。
「コーナー手前で後ろから突っ込む様な事をされたと、苦情が出ている」
その言葉に一瞬何の事かと思案していた慎吾が、中里の隣に居る者を視界に捉えるとようやく理解したかの様に大げさに笑い飛ばした。
「オイオイ、自分のヘタクソさを棚に上げて頼れるリーダーに告げ口かァ?」
クックッと笑う慎吾に剛を煮やしながらがなりたてようとする当の被害者を片手で止めながら中里は冷静にも慎吾を見据えた。
「御前が此処をどう思おうと勝手な事だが、これは――」
「待てよ、言い直せ」
「――は?」
思わず声を上げた中里に慎吾はポケットに突っ込んでいた右手をやる気無さ気にだらりと手首を垂らしたままその腕を頭の横まで上げ首を横に垂れる。
「後ろから突っ込む様な事だと?勘違いすんなよ、突っ込んだんじゃねえ、ちょいと押してやっただけだ」
「こ、の」
流石にキレた被害者は中里や周りの目を気にせずいきなり慎吾に殴りかかった。それに対し素直に吹っ飛ばされた慎吾が頬を擦りながら彼を物凄い剣幕で睨んだと思うと前髪を思い切り掴み寄せ顔面に膝打ちをくらわせるという暴挙に出始める。
「おい!」
流石にやりすぎだ、と思った。自分も含め元々血の気の多い者が集まったナイトキッズは喧嘩も珍しいものでは無かったが、このまま行くと死んでしまうのでは無いかと言うくらいに膝打ちを喰らった箇所が酷く歪んでいる。
周りの者が直ぐに二人を抑えつけたが慎吾は無理にそれを払うと大きくため込んでいた息を吐きだすと次に中里にその目を向けた。
「自業自得だろ、俺に当たってんじゃねえよ下手糞風情が。当たられる様なスピードでノロノロ走ってたのがいけねえんじゃねぇか」
オマケにこの言い草、中里はついにムキになってきた。
「御前が此処の奴等をどう思おうが俺の知った事では無いが、自分勝手な行動が目に余る様だったら此処を抜けて貰おう」
「ハッ!随分な御身分じゃねぇか中里サンよ、流石にデケーエンジン載せた四駆のマシンに頼りながら番格張ったリーダーの言葉は怖ェぜ」
彼に思いつく限りの皮肉をぶつけながら慎吾は更に続けた。
「こんなトコじゃ一番張れるのも簡単だと思ったが、中々俺の考えも外れて無いようだな?」
チームの真ん中で次々と晒け出される慎吾の言葉は、元々一匹狼だった慎吾を更に一人に追いやっていった。
「バッカみてぇだぜ、上下関係が有ればテクもそれで決まると思ってんのか。そーいう奴は、死んでも速くなんねぇんだよ」
「言いすぎだ!」
「だから何だってんだ!エラソーに気安く話しかけてんじゃねェぞ!」
バン、とコンクリートを蹴り押しながら慎吾は集まるメンバーにガンを飛ばし赤いシビックへと姿を消してしまった。大袈裟にエンジンをふかしながら闇の奥へと消えるEG6の後ろ姿を見ながら、中里の心中は怒りで燃えていた。恐らく他の者も同じなのだろう、暫くの間そこで言葉を発する者は居なかった。
第一印象は恐らく最悪だったに違いない。それは中里にとって根拠があれば確信もあった様に思えたが、実際どうだったのかはもう分からない。知りたくても、もう心理に迫る事は出来なくなってしまった。
真夏の日差しを直に感じながら、暑苦しいスーツの袖で汗を拭った。水を染み込ませる仕様になっていない厚いスーツ生地は額の汗を吸ってそこだけ色を変えてしまう。唯それを見つめながらやがて中里は重い足を踏み出した。
「中里」
中里毅は面食らった。彼は妙義山をホームコースにする走り屋集団、ナイトキッズのチームリーダーである。と言っても、現時点でのリーダー格であるだけでその名に馳せるものがあるのかは中里本人には正直理解出来なかったが、走りのテクニックは妙義でナンバーワンと言われるのも悪くなかったので彼はその名を素直に受け取っていたし、実際中里自身そう思っていたので当然の如く、かつ踏ん反り返らない程度に喜んでいる。しかしそれで大口を開けながら名誉を謳う訳でも無かったしその事で自分は他に迷惑をかけたことも――そんなに――無かった筈だが。
「中里」
彼は初対面からそう呼んだのだ。庄司慎吾が何に思いを馳せてナイトキッズのステッカーを貰ったのかは分からないし中里は当時知りたくも無かった。ただ、自分に憧れて入ったのでは無い事は充分に理解出来た一言だ。
別段呼び名がそんなに気になる訳でも無いしそこでとやかく言う程中里は堅い人間では無かったが、ナイトキッズのリーダー格を占めていて他の者からはどんなに疎遠された仲でも、中里さん、毅さんと呼ばれ続けていた自分が、ステッカーを貼って幾日もたっていない新人に、中里呼ばわり。流石の中里もそれにはどうかと眉を寄せたものだ。これは決して自分が見下される事を嫌っているからでは無い。いくら正式なものでは無いとしてもチーム内の上下も見れない様な根性を叩きなおそうとしたいだけである。が、結局どんな注意をしても自分が大層偉そうな態度を取っているのは違い無かったからそこは敢えて自重する事にした。
慎吾とはまだあまり話していない。何故か彼は、彼がナイトキッズに入ってきた頃から中里を嫌っていたようであったし、中里も中里で根性の曲がった同士仲を深めようとする訳でも無かった。お互いがお互いを避ける様な雰囲気にチームの中はより一層険悪になる一方である。
彼のドラテクは確かに上手かった。入って間もなく彼は愛車の赤いシビックの名をその妙義山に轟かせ、派手に峠を走っていたものだ。しかし彼の周りに人が居るのを中里は未だ見た事がない。中里が峠で愛車を休ませている時に慎吾自体は何回か見たが、彼はいつも隅っこの方でシビックに体を預けながらぐしゃぐしゃになったラッキーストライクの箱をポケットから取り出していたものだ。入って間もない彼は初対面のリーダーを呼び捨てにする様な度胸を持て余して一匹狼になってしまっていたのだ。そのことについて慎吾が何を思って煙草をふかしていたのかは分からない。元々自分から自己主張をして仲良しさんを演じる様なキャラでも無い事は分かっていた。
ある日、中里の前にチームメンバーの一人が息を荒げながらかなりの勢いでまくしたててきた事があった。
「この前入った新人!アイツ、俺の後ろを走ってたと思ったら行き成りリアを突いてきやがったんですよ!」
と言うことらしい。何でも、今夜は頂上まで行くのを目的とし妙義山にまで赴いてきた彼がバックミラーから眩い光を感じ、道を開けようかと迷ったものだが後方を確認してみると赤いシビックの新人だと気づきステアを握る拳に力が入ったのだと言う。新人は一丁前にもクラクションを鳴らすという暴挙の煽りに出たのに対し怒りを感じた彼がムキになって新人に煽られてたまるものかと目を燃やしながらコーナリング突然――後は、発言通りの展開だ。ドン、と軽くも重圧的な音を感じながらコーナー寸前の目の前に迫るレールを何とか避けながら暫く放心状態の彼の中には、響くクラクションの注意音とシビックのテールランプが残っていたという。
その真偽を確かめる為に中里は慎吾に近づいた時、彼はまた一人で隅っこにEG6を駐車しながら一人で煙草をふかしていた。滅多に近づかないナイトキッズのリーダーに慎吾は眉を寄せたが、同じくらい中里の眉も中心に集まっているのに対し慎吾はまた機嫌を悪くしたかの様に煙草を口から飛ばしポケットに手を突っ込みながら中里を見上げた。
「何か用?」
開口一番の発言に周りの野次馬は肝を冷やした。
「コーナー手前で後ろから突っ込む様な事をされたと、苦情が出ている」
その言葉に一瞬何の事かと思案していた慎吾が、中里の隣に居る者を視界に捉えるとようやく理解したかの様に大げさに笑い飛ばした。
「オイオイ、自分のヘタクソさを棚に上げて頼れるリーダーに告げ口かァ?」
クックッと笑う慎吾に剛を煮やしながらがなりたてようとする当の被害者を片手で止めながら中里は冷静にも慎吾を見据えた。
「御前が此処をどう思おうと勝手な事だが、これは――」
「待てよ、言い直せ」
「――は?」
思わず声を上げた中里に慎吾はポケットに突っ込んでいた右手をやる気無さ気にだらりと手首を垂らしたままその腕を頭の横まで上げ首を横に垂れる。
「後ろから突っ込む様な事だと?勘違いすんなよ、突っ込んだんじゃねえ、ちょいと押してやっただけだ」
「こ、の」
流石にキレた被害者は中里や周りの目を気にせずいきなり慎吾に殴りかかった。それに対し素直に吹っ飛ばされた慎吾が頬を擦りながら彼を物凄い剣幕で睨んだと思うと前髪を思い切り掴み寄せ顔面に膝打ちをくらわせるという暴挙に出始める。
「おい!」
流石にやりすぎだ、と思った。自分も含め元々血の気の多い者が集まったナイトキッズは喧嘩も珍しいものでは無かったが、このまま行くと死んでしまうのでは無いかと言うくらいに膝打ちを喰らった箇所が酷く歪んでいる。
周りの者が直ぐに二人を抑えつけたが慎吾は無理にそれを払うと大きくため込んでいた息を吐きだすと次に中里にその目を向けた。
「自業自得だろ、俺に当たってんじゃねえよ下手糞風情が。当たられる様なスピードでノロノロ走ってたのがいけねえんじゃねぇか」
オマケにこの言い草、中里はついにムキになってきた。
「御前が此処の奴等をどう思おうが俺の知った事では無いが、自分勝手な行動が目に余る様だったら此処を抜けて貰おう」
「ハッ!随分な御身分じゃねぇか中里サンよ、流石にデケーエンジン載せた四駆のマシンに頼りながら番格張ったリーダーの言葉は怖ェぜ」
彼に思いつく限りの皮肉をぶつけながら慎吾は更に続けた。
「こんなトコじゃ一番張れるのも簡単だと思ったが、中々俺の考えも外れて無いようだな?」
チームの真ん中で次々と晒け出される慎吾の言葉は、元々一匹狼だった慎吾を更に一人に追いやっていった。
「バッカみてぇだぜ、上下関係が有ればテクもそれで決まると思ってんのか。そーいう奴は、死んでも速くなんねぇんだよ」
「言いすぎだ!」
「だから何だってんだ!エラソーに気安く話しかけてんじゃねェぞ!」
バン、とコンクリートを蹴り押しながら慎吾は集まるメンバーにガンを飛ばし赤いシビックへと姿を消してしまった。大袈裟にエンジンをふかしながら闇の奥へと消えるEG6の後ろ姿を見ながら、中里の心中は怒りで燃えていた。恐らく他の者も同じなのだろう、暫くの間そこで言葉を発する者は居なかった。
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